THE 100 GREATEST TATTOOISTS IN THE WORLD 2019 |#71〜#80|SELECTOR 〔Hori Benny〕
⽇本のタトゥーイスト10⼈が選ぶ、注目すべき世界のタトゥーイスト100。第8回目のセレクターはオタク×タトゥーを融合させ〝ヲタトゥー〟という新たなジャンルを開拓した、昭和53年米国生まれの彫紅(Hori Benny)さんです。
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ブレのない美しいライン、しなやかなカラー、繊細なドット、適切な大きさや配置。タトゥーの善し悪しというは、絵柄そのものよりもモチーフの魅力を最大限に引き立てるタトゥーイングのテクニックによって大きく左右される。いまや凄腕のタトゥーイストは世界中でひしめきあい、SNSでは最新トレンドが日々更新され目が眩むほどの情報量だ。そこで選りすぐりの日本のタトゥーイストたちに、各自の審美眼に基づいた今リスペクトされるべきタトゥーイストを100人セレクトしてもらった。レジェンドから注目株まで、珠玉の100選をとくとご覧あれ。(監修:川崎美穂)
Selector08
Hori Benny
⽇本のタトゥーイスト10⼈が選ぶ、注目すべき世界のタトゥーイスト100。第8回目のセレクターはオタク×タトゥーを融合させ〝ヲタトゥー〟という新たなジャンルを開拓した、昭和53年米国生まれの彫紅(Hori Benny)さんです。カラフルで生き生きとしたアニメカルチャーと人体芸術のフュージョンはいまや世界中で愛され、さらなる進化を遂げています。今回は日本のポップカルチャーの浸透ぶりに心震わせてみましょう!(川崎)
彫紅(Hori Benny)http://horibenny.com/
INVASION CLUB https://invasion.club/
Instagram https://www.instagram.com/horibenny/
Genre ヲタトゥーおよびオールラウンド
71. Laura Anunnaki(Mexico)
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若く可愛く、自分のキラキラのライフスタイルをタトゥーでも示している。
カラーの点描パターンを使って宝石や背景が
まるでキラキラしているようにみせるテクニックも上手い。
一つ一つの作品に細かいところまで愛情を込めているのが伝わってくる(彫紅)
Laura Anunnaki / Mexico
ラテンアメリカを代表する名門『メキシコ国立自治大学(通称:UNAM)』でグラフィックデザインを学び、2015年からプロとしてのキャリアをスタート。メキシコ文化と日本文化の影響を強く受けた、明るく輝くようなオリジナルのスタイルを貫き、自分の目指す方向へとひたすらブラッシュアップしていった。アニメ、ゲーム、サンリオ、ディズニーなどへの愛とリスペクトが散りばめられたデザインは、圧倒的な画力のもとに独創性に富み、作品に対する解説をとても丁寧に綴っているのも印象的。彼女をサポートするスポンサー企業も瞬く間に多数現れ、現在はメキシコを拠点に世界各国を忙しく飛びまわっている。
[Laura Anunnaki]
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(画像引⽤元:https://www.instagram.com/lauraanunnaki/)
72. Oash Rodriguez(Spain)
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彩度の高い目立つカラーと完璧な影がこの人の売りだ。
現代カルチャーのゲームやアニメのキャラクターを主題にしても
自分のスタイルで丁寧に表現する(彫紅)
Oash Rodriguez / Spain
マドリード出身。ジャンル的にはネオトラディショナルと呼ばれているが、技術的にはかなり高度なオールラウンダー。最小限に抑えたライン、色を重ねて面を作り上げるリアリスティクの要素、マットで落ち着いた仕上がりにする質感など、丁寧な技術がオリジナルの物語を構成している。作品のバリエーションを増やしても彼のタッチだとわかる独自の画風と世界観をキープしているのも凄いが、さらにオタク心をくすぐる知識的なアイテムを散りばめている辺りは、まさに怪腕。ゲームクリエイター宮崎英高のポートレイトまで手がけているのには驚く。
[OLD BOY TATTOO]
https://www.instagram.com/old_boy.tattoo/
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(画像引⽤元:https://www.instagram.com/old_boy.tattoo/)
73. Jean Choir(France)
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生物の残酷でダークなパーツをピックアップして、怖く、不気味なタトゥーにする
ブラック&グレーは中心でしっかり線をとり、
ドットの周りに飛び散ったインクが水墨画感を醸しだしている(彫紅)
Jean Choir / France
フランス最古の港として有名なマルセイユ旧港のそばに、2019年新たなタトゥーパーラー『Sombre Tâche Tattoo』を設立。ダークアートにスポットを当てたブラックワークを手がけている。憂鬱と恐怖に満ちたホラー漫画家の伊藤潤二テイストをはじめ、ポップでオカルトチックなモチーフなど、キモい…でも切なくてなぜだか癒される…、そんな需要に応えている。
[Sombre Tâche Tattoo]
https://www.facebook.com/sombretache/
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(画像引⽤元:https://www.instagram.com/jeanchoir_tattoo/)
74. Zach Black(USA)
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モチーフはアメリカントラディショナルから
日本の和彫りまでランダムな組み合わせ。
色はドストレート、シンプルだけど作品一点一点が異なる発想で面白い(彫紅)
Zach Black / USA
ウィスコンシン州ミルウォーキーを拠点にするタトゥーイスト、ゴジラフリークでもある。作品に見合ったテクニックを使い分け、ダークファンタジーな世界を色鮮やかに仕上げる。オーダーになぜか絡新婦(じょろうぐも)が多くバリエーションも豊富なのが印象的。
[Akara Arts]
https://business.facebook.com/Akarastudio/
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(画像引⽤元:https://www.instagram.com/zachblacktattoos/)
75. Lera Ooqza(Russia)
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黒一色の漫画チックな表現で女の子の顔を描いたモチーフが多い。
最近の作品には心理的な悩みを文字にしてタトゥーの周りに飾りとして使っている。
デットワークのアーティストがバンバン増えてきたタトゥー業界でも目立つ存在(彫紅)
Lera Ooqza / Russia
写真を撮るのが趣味で写真家になることも考えたが、タトゥーイストの道を選択。2013年からタトゥーのキャリアをスタートし、現在はモスクアを拠点にヨーロッパ各地をまわりながらゲストワークを行っている。スタート時はヨーロピアンテイストなB&Gを手がけており、その後さまざまな国を旅しながらインスピレーションを得て、2017年あたりからアニメっぽい作風に傾向。ホラー漫画家・伊藤潤二の影響を受けたテイストを感じさせながらも圧倒的な画力で独自の画風を築いている。将来が楽しみな注目株。
[Lera Ooqza]
https://www.facebook.com/ooqzatt/
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(画像引⽤元:https://www.instagram.com/ooqza/)
76. Neo Parker/Rober Pedragosa(Spain)
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3Dソフトを利用してオリジナルの資料製作から始める。
ゲーム、アニメ、映画などのキャラクターを主題にした場合は、
色の調整や構図の流れなど、デジタルでコラージュしてからタトゥーのデザインに落としこんでいく。
さすが現代のアーティスト、デジタルとアナログを上手く活用したユニークな作品(彫紅)
Neo Parker (Rober Pedragosa) / Spain
カラーポートレイト、リアリスティック、シュルレアリスム表現を得意とする。絵や文字を組み合わせたデザインを複数のタトゥーテクニックで融合させ、さらに大胆なカラーリングで独自の世界観へと美しく昇華させられる実力派。マドリードにあるスタジオ『CREEPSHOW TATTOO』は、とてもお洒落な空間に所狭しとフィギアを並べた、ギーク感満載なのにクールという人気店。正面の壁に飾られた、レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』をスター・ウォーズのキャラでパロディ化した大きな絵がシンボル。
[CREEPSHOW TATTOO]
https://www.facebook.com/Creepshow-Tattoo-139942632782712/
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(画像引⽤元:https://www.instagram.com/neoparker.tattoo/)
77. Kubrick Ho(Taiwan)
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カラーワークは、優しくて、やわらかくて、美しくお花や自然のモチーフを活かし
ブラックワークは、ソフトなタッチの細い線、細やかな点描で表現する(彫紅)
Kubrick Ho / Taiwan
台北出身。2019年彼がデザインしたG-Shockが発売されて一気に注目を集めた、近年台湾を代表するタトゥーイスト。女性の肌に映える儚げな淡いパステルカラーのトーンが印象的で、作画のインプットには日本の浮世絵、マンガ、イラスト、演劇など、多方面にアンテナを張って影響を受けていることがうかがえるものの、アウトプットは完全オリジナル。アーティストとしての気骨を感じる。
[Justice Ink(正義刺青)]
https://www.facebook.com/justiceinkofficial/
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(画像引⽤元:https://www.instagram.com/kubrickgood/)
78. Hannah Flowers(UK)
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繊細な宝石、お花、アクセサリーなどを美人の周りにデコレーションさせ、
クラシカルな古典ヨーロッパの絵画を現代のタトゥーとして表現している。
アール・ヌーヴォーみたいに現実的な人物とグラフィックを組み合わせ、
下絵のステージから完成までを丁寧に仕上げる。
インクには彩度の低いパレットを使用し、美しい世界観を作っています(彫紅)
Hannah Flowers / UK
オーストラリア大陸の南東にあるタスマニア島出身。大学で美術を学ぶもタトゥーイストの見習いをするために中退。タスマニアのスタジオで5年間働き、現在はロンドンのスタジオに在籍。ミューズからファムファタールまで、一人一人の女性が遭遇する人生の喜びや悲しみ、官能や憂いなど、架空の物語を丹念に描くことで甘く切ない幻想的な世界へと誘う。
[Hannah Flowers]
https://www.instagram.com/hannahflowers_tattoos/
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(画像引⽤元:https://www.instagram.com/hannahflowers_tattoos/)
79. Adam Friedman(USA)
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言葉で説明しにくいけど、ソフトを使って、
超シンプルなシルエットをぼやけさせて、
テレビ画面でしかなかなか見ない効果を人間の皮膚で彫る。
とてもシンプル、クリーンで好き(彫紅)
Adam Friedman/ USA
2006年オレゴン大学を美術学士号を取得して卒業。その後、コンテンポラリーアートを専門としファインアート学部しかない美大『San Francisco Art Institute(SFAI)』に進学、2008年修士号取得。過去10年に渡り絵画、壁画、インスタレーション、ギャラリー作品など、ファインアートの芸術家として活躍。数年前、ギャラリーの世界に不満を感じ始めたことをきっかけに、2017年より昔から友人たちに勧められていたタトゥーイングを開始する。現在はオレゴン州ポートランドのスタジオに所属。2016年から2017年にかけて制作したアート作品のコンセプトを元に、よりシンプルにデザインしたCMYKを色分解して版ズレしたようなタトゥーが評判を呼び注目を集める。タトゥーとアートの相互関係については、ときにファインアートは自己陶酔的に感じることがあるが、タトゥーはすべてクライアントのために行われる私的な感情にとらわれないものだという。とはいえ、タトゥーの世界に新しい可能性を押し広げてくれる頼もしい存在であるのは確かだ。
[Sideshow Alley Tattoo Odditorium]
https://www.sideshowalleytattoo.com/
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(画像引⽤元:https://www.instagram.com/iron.glacier/)
80. Kelly Doty(USA)
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ダークな可愛いオリジナルキャラクターが得意!
人物、植物、動物モチーフをなんでも可愛くアーシャして彫っています。
Tim Burtonに影響を受けていそうな独自の色合いで、不気味な可愛い雰囲気を作る(彫紅)
Kelly Doty / USA
17世紀のアメリカで唯一魔女狩りが行われ〝魔女裁判〟の舞台となった、マサチューセッツ州のセイラムという街に住み、スタジオを構える。現在のセイラムは、童話などに登場する魔女のイメージが街のシンボルとなっており、街の雰囲気とスタジオのコンセプトは相性抜群。2008年頃からタトゥーのキャリアをスタートして独自のニュースクールスタイルで存在感を示してきたが、人気テレビ番組『Ink Maste』に出演したことで実力が高く評価される。続く『Ink Maste:Angels』では、タトゥー作品同様に彼女のチャーミングなキャラクターがクローズアップされ、ますます注目を集めて人気に磨きがかかる。
[Helheim Gallery]
https://www.helheimgallery.com/
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(画像引⽤元:https://www.instagram.com/kellydotylovessoup/)
監修
川崎美穂 かわさき・みほ/1973年、青森県弘前市⽣まれ。1996年より『BURST』の編集に携わり、1999年本邦初のタトゥー専門情報誌『TATTOO BURST』を創刊。雑誌が休刊する2012年までのあいだ編集長を務める。現在はタトゥーのある人でも利用可能な日本の温泉施設などを紹介するウェブサイト『Tattoo Friendly』を運営。タトゥーにまつわることをライフワークとし各メディアに執筆なども行なっている。
Tattoo Friendly : https://tattoo-friendly.jp/ja/
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