THE 100 GREATEST TATTOOISTS IN THE WORLD 2019 |#11〜#20|SELECTOR 〔Naoki〕
⽇本のタトゥーイスト10⼈が選ぶ、注目すべき世界のタトゥーイスト100。第2回目のセレクターは、スイート&ビターなファンタジックスタイルに熱烈ファンの多いTNSのナオキさんです。
<< The 100 Greatest Tattooists in the World 2019 #01〜#10
ブレのない美しいライン、しなやかなカラー、繊細なドット、適切な大きさや配置。タトゥーの善し悪しというは、絵柄そのものよりもモチーフの魅力を最大限に引き立てるタトゥーイングのテクニックによって大きく左右される。いまや凄腕のタトゥーイストは世界中でひしめきあい、SNSでは最新トレンドが日々更新され目が眩むほどの情報量だ。そこで選りすぐりの日本のタトゥーイストたちに、各自の審美眼に基づいた今リスペクトされるべきタトゥーイストを100人セレクトしてもらった。レジェンドから注目株まで、珠玉の100選をとくとご覧あれ。(監修:川崎美穂)
Selector02
Naoki
⽇本のタトゥーイスト10⼈が選ぶ、注目すべき世界のタトゥーイスト100。第2回目のセレクターは、スイート&ビターなファンタジックスタイルに熱烈ファンの多いTNSのナオキさんです。(川崎)
Instagram https://www.instagram.com/tns_naokidz/
Genre 25年選手 自由形
11.Steven Compton(USA)
この投稿をInstagramで見る
テクニックが凄くて配色が好き(Naoki)
Steven Compton / USA
テキサス州ヒューストン出身。幼い頃からマンガを描くことを得意とし、2010年よりプロのタトゥーイストとして活動をスタート。2012年には優秀なアーティストたちとともに『RED DAGGER TATTOO』をオープンする。形状や色を誇張した表現をもちいて、ディテールにこだわった鮮やかなタトゥーが定評。アイコンでもあるオリジナルのラバーダックは彼のマスコットキャラクターであり、ドーナツ、ハンバーガー、シラチャーソース、寿司、イチゴなど、異なる素材を変幻自在にミックスさせたシリーズで人気を呼んでいる。
[RED DAGGER TATTOO]
https://www.facebook.com/RedDaggerTattoo/
この投稿をInstagramで見る
(画像引⽤元:https://www.instagram.com/steven_compton/)
12. Yauu(Spain)
この投稿をInstagramで見る
可愛くてスムース(Naoki)
Yauu / Spain
1992年生まれ。父親は地中海に面した港湾都市カルタヘナで『La Buena Suerte』というスタジオを営むタトゥーイスト。幼少期からプロフェッショナルなタトゥーの現場を見て育ち、自然の流れで父と同じ職業を選択。父の元で幅広いスキルを磨きながら、個性的でカラフルな独自のスタイルを確立する。現在はマドリッドを拠点に活躍する若き実力派。
[8 Milímetros Tattoo & Piercing]
https://www.facebook.com/8milimetrostattoo
この投稿をInstagramで見る
この投稿をInstagramで見る
(画像引⽤元:https://www.instagram.com/tattooyauu/)
13. Brando Chiesa(Italy)
この投稿をInstagramで見る
独創的で配色が好み(Naoki)
Brando Chiesa / Italy
フィレンツェに拠点を置くタトゥーイスト兼イラストレーター。ダイナミックに誇張された日本のアニメ的な手法で〝Hentai(ヘンタイ)〟と〝Kawaii(カワイイ)〟をミックスし、エログロに溢れたフェティシズムを描く。初期は黒と深紅のダークなカラーが特徴だったが、甘く柔らかなパステルカラーで独自のトーンをキープした〝Pastel Gore(パステル・ゴア)〟とよばれる新ジャンルを開拓。日本文化の影響については、幼い頃から毎晩寝る前に日本のアニメを観て育った環境が原点にあり、日本へ旅行したときにも東京周辺ではこれらのテーマを見るのがいかに簡単かを実感したという。Instagramでは、視覚的な表現にVaporwave(ヴェイパーウェイヴ)やSeapunk(シーパンク)のようなサンプリングスタイルを取り入れ、さらに独自の世界観を構築。好奇心をそそるエログロな表現は見る者の心の奥深くに響き、世界中のコレクターを魅了する一方、触発された人によってコピーや偽造も多発。それについては遺憾ではなく、むしろ多くのひとたちにインスピレーション与えられる存在としてタトゥーや芸術界に貢献することを望んでいる。そのため、1つのスタイルをマスターしたらマンネリを繰り返すのではなく、ピカソのようにキャリアの中で作風がめまぐるしく変化し、最終的に偉業を成し遂げられれば本望だと考えている。ストイックなまでに創作活動に没頭するのは、母を亡くした後の鬱病から抜け出すために芸術の創造を必要としていた時期が多大に影響している。
[Burando Chiesa]
この投稿をInstagramで見る
この投稿をInstagramで見る
(画像引⽤元:https://www.instagram.com/brandochiesa/)
14. Johan Svahn(Sweden)
この投稿をInstagramで見る
テクニック 構図の取り方(Naoki)
Johan Svahn / Sweden
10代の頃から地元スウェーデンのタトゥースタジオで働き、十分なキャリアを積んだ後に日本刺青を専門に手がけるようになる。日本の伝統文化に敬意を払い、そこに宿る精神を深く掘り下げることで、独自のヨーロッパ的解釈を加えた新境地に達する。風、髪、波、着物のひだなど、すべてにおいて自然な流線を描くことに情熱を捧げ、アクセサリーとしてではなくクライアントの人生の一部となる創作を尊重している。
[Malmö Classic Tattooing]
https://www.facebook.com/Malmö-Classic-Tattooing-355771581120409/
この投稿をInstagramで見る
この投稿をInstagramで見る
(画像引⽤元:https://www.instagram.com/johansvahntattooing/)
15. Adrian Hing(Australia)
この投稿をInstagramで見る
絵が好み(Naoki)
Adorian Hing / Australia
1998年、ストリートでインスパイアされタトゥーイストの仕事をスタート。幕末の浮世絵師のようなユーモアに富んだ世界観を好み、写実から日本画まで幅広く対応するオールラウンドな技能を活かして、鳥獣戯画や動物と植物がミックスした独創的なデザインを手がける。力強くもありながら、どこかグニャリとした脱力感が魅力。甘いマスクでオヤジギャグを好むナイスガイ。
[The Darling Parlour]
https://www.thedarlingparlour.com/
この投稿をInstagramで見る
この投稿をInstagramで見る
(画像引⽤元:https://www.instagram.com/adrian_hing_tattoo/)
16. Rafa Decraneo(Spain)
この投稿をInstagramで見る
絵も配色もおしゃれで好き(Naoki)
Rafa Decraneo / Spain
マドリード出身。マドリードにスタジオを構える、世界的に有名なトラディショナルタトゥーの巨匠『True Love Tattoo』のオーナー彫師El Baraの作品を目撃した瞬間、タトゥーの世界に足を踏み入れることを決意。多色で写実的な作品が流行する現代において、大胆な黒のアウトラインを描き、インクの色数が少なかった時代をオマージュしたシンプルなカラーで仕上げる、正統派のクラッシックスタイルを追求している。古典的な題材に現代のアプローチを加えたオリジナルのフラッシュと繊細な細工を凝らした丁寧な仕事は、永遠の輝きを放つオールドスクールの真の魅力を最大限に引き出している。
[Black Ship Tattoo BCN]
この投稿をInstagramで見る
この投稿をInstagramで見る
(画像引⽤元:https://www.instagram.com/rafadecraneo/)
17. Tommy doom(Australia)
この投稿をInstagramで見る
なんか好き(Naoki)
Tommy doom / Australia
ブリスベンにある個性派揃いのスタジオ『Trailer Trash Tattoo』に所属するタトゥーイスト。トラディショナルスタイルを得意とし、細くシャープなラインに、黒や茶のシェーディングで品良く立体感を加えるのが特徴。カラーリングはシンプルに、かつバランスよく素肌に余白部分を残し、よりエレガントな雰囲気をまとった作品に仕上げる。古典的な題材をどう表現するか、センスが問われるトラッドのなかでも独自の存在感を発揮している。また、2つの題材を組み合わせたディテールの細かい作品も定評。
[Mimsy’s Trailer Trash Tattoo]
https://www.instagram.com/trailertrashtattoo/
この投稿をInstagramで見る
この投稿をInstagramで見る
(画像引⽤元:https://www.instagram.com/trailertrashtattoo/)
18. Thom Bulman(USA)
この投稿をInstagramで見る
テクニックが凄い(Naoki)
Thom Balman / USA
ニューヨーク州コートランドにある『Alchemist Art Studios』のオーナー彫師であり似顔絵アーティスト。自らをマンガ家(Cartoonist)とタトゥーイスト(Tattooist)を組み合わせた〝タトゥーンイスト(Tattoonist)〟と名乗り、映画、テレビ、ビデオゲームなどのポップカルチャーにインスパイアされた、明るくてカラフルな作品を手がける。少年時代はディズニー・スタジオの漫画家を目指していたが、クラシックアニメの衰退化を考慮し、音楽の道へ。やがて本来の絵のうまさとオタク気質を活かし、ニュースクールの手法を駆使したタトゥーイストとなる。2017年には、プロのタトゥーイストたちが技術やセンスを競うアメリカのリアリティ番組『Ink Master』シーズン9に出演。独特のキャラクターがフィーチャーされ知名度が一気にアップ。また、熱心なおもちゃコレクターでもある。
[Alchemist Art Studios]
https://www.bulmantattoons.com/
この投稿をInstagramで見る
この投稿をInstagramで見る
(画像引⽤元:https://www.instagram.com/bulman_tattoons/)
19. Sarah Kate(Australia)
この投稿をInstagramで見る
配色が可愛い(Naoki)
Sarah Kate / Australia
2012年、南オーストラリアのアデレードの大学で視覚芸術を学びながら、ストリートショップでキャリアをスタート。その後プライベートスタジオでスキルを磨き、シドニーに引っ越していくつかの有名なタトゥーショップで働く。自身の作品を〝ガーリートラッド〟と表現し、しっかりとした太いラインに、フェミニンなカラーのグラデーションで立体感を出すのが特徴。従来のネガティブな題材ではなく、アメコミなどのキッチュな大衆文化、ロイ・リキテンスタインやノーマン・ロックウェルのようなポップアート、レトロかわいいものをモチーフとしている。2019年、地元アデレードに帰郷。
[Sarah Kate Tattoo]
この投稿をInstagramで見る
この投稿をInstagramで見る
(画像引⽤元:https://www.instagram.com/sarahktattoo/)
20. Adam Hathorn(USA)
この投稿をInstagramで見る
とにかく絵が大好き(Naoki)
Adam Hathorn a.k.a. Honkey Kong / USA
マサチューセッツ州ボストン出身、タトゥーイスト、イラストレーター、ファインアーティスト。芸術大学の名門・サバンナ大学アート&デザインで学び、98年から見習いとしてタトゥーのスキルをスタート。現在はカリフォルニア州サンディエゴを拠点に活躍する。子どもの頃からスケートボードに熱中し、ボードのグラフィックや街のグラフィティに興味をもったことが、現在のタトゥースタイルやアート作品の礎となる。また、アメリカの風刺マンガ『Mad』や『Cracked』などのcool shitなスタイルの雑誌からの影響も受けているという。骨太なライン、鮮やかでマットなカラー、擬人化された動物などクレイジーでファニーなモチーフが人気。
[BIG TROUBLE TATTOO]
https://www.bigtroubletattoo.com/
この投稿をInstagramで見る
この投稿をInstagramで見る
(画像引⽤元:https://www.instagram.com/honkeykonger/)
監修
川崎美穂 かわさき・みほ/1973年、青森県弘前市⽣まれ。1996年より『BURST』の編集に携わり、1999年本邦初のタトゥー専門情報誌『TATTOO BURST』を創刊。雑誌が休刊する2012年までのあいだ編集長を務める。現在はタトゥーのある人でも利用可能な日本の温泉施設などを紹介するウェブサイト『Tattoo Friendly』を運営。タトゥーにまつわることをライフワークとし各メディアに執筆なども行なっている。
Tattoo Friendly : https://tattoo-friendly.jp/ja/
〈MULTIVERSE〉
「かつて祖先は、歌い、踊り、叫び、纏い、そして屍肉を食らった」生命と肉食の起源をたどるビッグヒストリー|辻村伸雄インタビュー
「そこに悪意はあるのか?」いまアートに求められる戦略と狡知|小鷹拓郎インタビュー
「暮らしに浸り、暮らしから制作する」嗅覚アートが引き起こす境界革命|オルファクトリーアーティスト・MAKI UEDAインタビュー
「Floating away」精神科医・遠迫憲英と現代魔術実践家のBangi vanz Abdulのに西海岸紀行
「リアルポリアモリーとはなにか?」幌村菜生と考える“21世紀的な共同体”の可能性
「NYOTAIMORI TOKYOはオーディエンスを生命のスープへと誘う」泥人形、あるいはクリーチャーとしての女体考|ヌケメ×Myu
「僕たちは多文化主義から多自然主義へと向かわなければならない」奥野克巳に訊く“人類学の静かなる革命”
「私の子だからって私だけが面倒を見る必要ないよね?」 エチオピアの農村を支える基盤的コミュニズムと自治の精神|松村圭一郎インタビュー
「子どもではなく類縁関係をつくろう」サイボーグ、伴侶種、堆肥体、クトゥルー新世|ダナ・ハラウェイが次なる千年紀に向けて語る
「バッドテイスト生存戦略会議」ヌケメ×HOUXO QUE×村山悟郎
「世界ではなぜいま伝統的タトゥーが復興しようとしているのか」台湾、琉球、アイヌの文身をめぐって|大島托×山本芳美