THE 100 GREATEST TATTOOISTS IN THE WORLD 2019 |#31〜#40|SELECTOR 〔Horiman〕
⽇本のタトゥーイスト10⼈が選ぶ、注目すべき世界のタトゥーイスト100。第4回目のセレクターは、頼れるみんなのbro彫マンさんです。デキる男のvibesをcheck it outですよ~。
<< The 100 Greatest Tattooists in the World 2019 #01〜#10
<< The 100 Greatest Tattooists in the World 2019 #11〜#20
<< The 100 Greatest Tattooists in the World 2019 #21〜#30
ブレのない美しいライン、しなやかなカラー、繊細なドット、適切な大きさや配置。タトゥーの善し悪しというは、絵柄そのものよりもモチーフの魅力を最大限に引き立てるタトゥーイングのテクニックによって大きく左右される。いまや凄腕のタトゥーイストは世界中でひしめきあい、SNSでは最新トレンドが日々更新され目が眩むほどの情報量だ。そこで選りすぐりの日本のタトゥーイストたちに、各自の審美眼に基づいた今リスペクトされるべきタトゥーイストを100人セレクトしてもらった。レジェンドから注目株まで、珠玉の100選をとくとご覧あれ。(監修:川崎美穂)
Selector04
彫マン
⽇本のタトゥーイスト10⼈が選ぶ、注目すべき世界のタトゥーイスト100。第4回目のセレクターは、頼れるみんなのbro彫マンさんです。デキる男のvibesをcheck it outですよ~。(川崎)
DESPERADO EXCHANGE http://desperado-ex.jp/
Instagram https://www.instagram.com/horiman06/
Genre ブラックアンドグレー
31. Handsmark(Finland)
この投稿をInstagramで見る
ドットのタトゥーが美しい(彫マン)
Handsmark / Finland
ヘルシンキのプライベートスタジオを拠点に新世代のブラックワークを手がける気鋭のタトゥーイスト。濃淡をドットの大小や密度で表現し、ジオメトリー、トライバル、リアリスティック、伝統紋様のパターン、網点を拡大したようなベンディドットなど、異なるジャンルのタトゥーを柔軟に組み合わせながら、単なるエスニック趣味におさまらないクールな世界観を構築。同ジャンルの女性アーティストJessi Manchesterとのコラボレーションや日本伝統刺青の手彫りなど、幅広い経験を積むことで表現の枠を拡張中。来日する機会もあるので彼とのタトゥーセンションを日本で楽しむ日も夢ではない。
[Handsmark]
https://handsmark.wixsite.com/handsmark
この投稿をInstagramで見る
この投稿をInstagramで見る
(画像引⽤元:https://www.instagram.com/handsmark/)
32. Augustine Nezumi(Singapore)
この投稿をInstagramで見る
大胆なタッチのある構図がかっこいい(彫マン)
Augustine Nezumi / Singapore
1978年生まれ。近年特にタトゥーに寛容なシンガポールにて日本刺青を専門に手がけてきた先駆けのひとり。彫鼠(ホリネズミ)の号も名乗る。世界のタトゥーコンベンションにも積極的に参加し、トレンドの研究も怠らない。大柄な作品を手がけられるのはクライアントからの信頼の証であり、2016年にはシンガポールの流行に敏感な若者たちが集まるおしゃれエリアに新スタジオをオープン。人生に脂の乗る40代に突入し、一段とキャリアに磨きがかかるのがとても楽しみなタトゥーイスト。
[Singapore Electric by Gimmelovetattoo]
https://www.facebook.com/singaporeelectric/
この投稿をInstagramで見る
この投稿をInstagramで見る
(画像引⽤元:https://www.instagram.com/gimmelovetattoo/)
33. Victor Chil(Spain)
この投稿をInstagramで見る
アニメっぽいリアルなタトゥーがかっこいい(彫マン)
Victor Chil / Spain
15歳でグラフィティを始め、バルセロナにてグラフィックデザインの勉強をしていた19歳のときに入れたファーストタトゥーをきっかけに、タトゥーの世界について学ぶようになる。2006年からプロとしてキャリアをスタート。リアリスティック、ニュースクール、ジャパニーズの3つのスタイルに焦点を当て、色彩の表現にこだわったフルカラーの作品を手がけている。黒のシェーディングで陰影を作らず、カラーのグラデーションとホワイトのラインで遠近感を演出しているため、作品はどれも鮮やかな印象。また、デザインの簡素化を図ることで視覚的なインパクトをアップさせた。現在はクリエイティブなタトゥーイストたちが多数在籍するバルセロナのFAMILY ART TATTOOに所属。同僚に恵まれ、ときに旅をしながら多くを学んでいる。
[FAMILY ART TATTOO]
https://www.facebook.com/FamilyArtTattoo/
この投稿をInstagramで見る
この投稿をInstagramで見る
(画像引⽤元:https://www.instagram.com/victor_chil/)
34. Fredy Tomas(Spain)
この投稿をInstagramで見る
重いぼかしのあるポートレートがかっこいい(彫マン)
Fredy Tomas / Spain
1988年、スペイン南部の町ムルシア生まれ。父はムルシアのロックシーンに多大な影響を与えたカリスマ的ベーシストでありタトゥーイストのEl Catalán(本名:Antonio Tomas)。幼い頃から絵画教室に通い、午後は毎日父のスタジオExotic Tattooで過ごしていた。タトゥーイングは10歳から経験があったが、当然ながら子供のうちはタトゥーという責任ある仕事に対し、本気で取り組む覚悟があるのか判断しかねていた。義務教育を終え高校に進学するも、すぐに中退。父とスタジオに在籍しているリアリスティックの名手Pablo“hik”に16歳から本格的にタトゥーイングを教わる。若いながらキャリアは長く、コンベンションにも父と共に参加していたが、2010年コンテストに初エントリーして見事入賞、実力が証明される。近年は持ち前のエンターテイナーぶりを発揮し、スタジオのタトゥーイストたちが出演するショートムービー『TATUAJEROS』を監督&出演。シリーズは回を重ねるごとにパワーアップし、お馬鹿なことに本気で取り組む姿からはタトゥーイストたちの仲の良さと多才さが伝わってくる。Instagramに投稿される動画のギャグも中毒性が高い。なお2016年10月敬愛する父El Catalán逝去。訃報は地元のニュースでも広く伝えられた。
[Exotic Tattoo Murcia]
https://www.instagram.com/exotictattoomurcia/
この投稿をInstagramで見る
この投稿をInstagramで見る
(画像引⽤元:https://www.instagram.com/fred_tattoo/)
35. Fonzy Greaskull(USA)
この投稿をInstagramで見る
ミューラルアーティストからタトゥーアーティストになった人物
女性がセクシーでかっこいい(彫マン)
Fonzy Greaskull / USA
咥えマッチがトレードマーク。現在はカリフォルニア州オレンジカウンティにあるGreaskull Tattoo Alleyのオーナー兼タトゥーイスト。ローライダーカルチャーのメッカ、メキシコのティファナで生まれ、当たり前のようにローライダーコミュニティーのなかで育つ。子供の頃からエアブラシを握り、油絵の教師だった母親からアートについての多くを学んだ。1996年よりエアブラッシャーとして順調にキャリアを築いていたが、実際のところメキシコで職を探すのは大変なことだった。友人から「LAに行けばストリートにだってチャンスがゴロゴロ転がっている」と聞き、22歳でLA行きを決意。移住後、腕利きのアーティストたちと出会い、貪欲にスキルを磨いていく。リアリスティックなタッチで描けるエアブラッシャーとして名を馳せ、2007年からタトゥーマシーンも自在に操るようになる。よくチカーノスタイルといわれることが多いが、ローライダー文化と50’sの不良スタイル(ロカビリーの音楽やファッション、ライフスタイル)をミックスさせた〝Low Greaser〟が自分のベースであると語る。タトゥーにもマッチを咥えた人物が多く描かれ、本人曰く「作品にサインがなくても、マッチを咥えていればオレの作品だってすぐにわかるだろ」とのこと。いつもマッチを咥えている理由は、タバコはもともと吸わないため禁煙して口寂しいとかではなく、単純に味が好きだから。
[Greaskull Tattoo Alley]
https://www.facebook.com/Greaskull-Tattoo-Alley-158003457584848/
この投稿をInstagramで見る
この投稿をInstagramで見る
(画像引⽤元:https://www.instagram.com/fonzygreaskull55/)
36. Elvia Guadian(Mexico)
この投稿をInstagramで見る
女性ならではのアートワークがかわいい(彫マン)
Elvia Guadian / Mexico
メキシコ第2の都市ハリスコ州の古都グアダラハラ生まれ。ワールドクラスで認められている希有なメキシコ人タトゥーイストのひとり。ロータリー式マシーンを使ったソフトなシェーディングが生み出す、繊細なブラック&グレーが定評。写実的なチカーノスタイルを得意としているが、ギャングやローライダー、プリズンタトゥーといったタフな男らしさの象徴とは一線を画し、クラウンガールや死者の日を象徴するカトリーナなど、モチーフは慈悲深く優しい眼差しをたずさえている。幼いころから絵を描く職業に興味をもち、15歳でタトゥーと出会い、18歳になると地元のタトゥースタジオで見習いとして働きはじめる。2年間で基礎的なことを学ぶと一旦地元を離れていくつかの都市でスキルを磨く。旅を通して見識が広げられたことにより、ルーツであり誇りとするメキシコの伝統芸術と、アメリカの西海岸文化に触発されたチカーノスタイルをミックスする、自分の目指すべきスタイルが確立されていった。現在は地元グアダラハラのTatuajes De Reyesに所属し、各国を多忙に飛び回っている。
[Tatuajes De Reyes]
https://www.tatuajesdereyes.com/
この投稿をInstagramで見る
この投稿をInstagramで見る
(画像引⽤元:https://www.instagram.com/elvia_guadian/)
37. Steve Butcher(USA)
この投稿をInstagramで見る
とにかくすごすぎる
カラーがリアリスティック(彫マン)
Steve Butcher / USA
なんじゃこりゃ!とつぶいやいたあと瞬きをしてもう一度ガン見する人が続出、世界でも屈指のスーパーリアリズムを手がけるエキスパート。ニュージーランドで生まれ、7歳のときに大好きなテレビ番組『ドラゴンボールZ』に触発されて絵を描いたことがすべての始まり。そこから芸術への熱意は高まり、ホワイトクリフ・アート&デザイン大学に進学。美術学士号を取った直後、友人に「彫師になるべきだ」と助言されたことをきっかけに、2012年からCarlos Torres、Dean Sacred、Erin Chance、Mick Squires、Nikko Hurtado、Paul Boothなど一流タトゥーイストから学び、一緒に仕事をするまでにスキルを磨いた。ニュージーランドのオークランドを拠点にしてきたが、2019年から南カリフォルニアに住居を移す。スポーツの感動的なワンシーンを切り取った作品は、人物だけではなく背景や観客も模写することで臨場感にあふれる。Instagramには別角度からのビューやアップの動画も投稿されているのでそちらも要チェック。血管が浮かび汗がほとばしる姿はアップで見ても、なんじゃこりゃ!とつぶいやいたあと瞬きをしてもう一度ガン見する。
[Steve Butcher]
https://www.stevebutchertattoos.com/
この投稿をInstagramで見る
この投稿をInstagramで見る
(画像引⽤元:https://www.instagram.com/stevebutchertattoos/)
38. Myrhwan Ogt(Spain)
この投稿をInstagramで見る
人物画のニュースクールがかっこいい(彫マン)
Myrhwan Ogt / Spain
アンダルシア州リナーレス出身、グラフィティをしながらタトゥーのキャリアを積む。現在は#34のFredy Tomas率いるExotic Tattoo Murciaに所属するタトゥーイスト。ショートムービーシリーズ『TATUAJEROS』では3人の主人公のうちの1人として出演、俳優顔負けの演技でキャラの濃い人物を演じている。InstagramのプロフィールにYouTubeのリンクがあるので是非!タトゥー作品は、太さの異なる丁寧なラインが美しい流れを作り、彩度の低い暖色とグレーの配色がとてもエレガント。モチーフとなる人物の顔や首、手や指にタトゥーが描かれることも多いが、グロテスクに偏らず優雅さをキープしているためストリートの紳士淑女が身につけるタトゥーとして最高にクール。それにしても『TATUAJEROS』の今後の展開が気になる…。
[Exotic Tattoo Murcia]
https://www.instagram.com/exotictattoomurcia/
この投稿をInstagramで見る
この投稿をInstagramで見る
(画像引⽤元:https://www.instagram.com/myrhwan/)
39. Josh Lin(Taiwan)
この投稿をInstagramで見る
濃いグレーの使い方がかっこいい(彫マン)
Josh Lin / Taiwan
台湾北西部の桃園市出身、おとめ座。台北市にある国立台湾芸術大学美術学部に入学し、油絵、彫刻、インスタレーション、版画など、あらゆる技術と歴史的な側面を学ぶ。卒業後、22歳から手探りでタトゥーのキャリアをスタート。台湾軍への徴兵期間は、人生や未来について、自分の得意分野を活かす方法などを考える貴重な時間となり、絵画の基礎技法である高いデッサン力はリアリスティックとブラック&グレーのスタイルに適し、美術教育で得た知識は〝タトゥーアート〟という歴史や文化を描くことに役立たせた。スタジオ名である〝Synthetic(シンセティック)〟の通り、さまざまなモチーフが複雑に絡み合って統合されている独自の表現スタイルは、具象と抽象もミックスしながらタトゥーの物語に奥行きを与えている。2018年には、世界最大のコニャック生産企業Hennessy・TaiwanのCMに抜擢されるなど注目を集めている。
[Synthetic Tattoo]
https://www.joshlintattoo.com/
この投稿をInstagramで見る
この投稿をInstagramで見る
(画像引⽤元:https://www.instagram.com/joshlintattoo/)
40. Kezam(Spain)
日本の浮世絵の物語を自分で解釈して
描く絵が面白くてかっこいい(彫マン)
Kezam / Spain
2003年にバルセロナでタトゥーをスタート。日本の芸術と刺青に興味があり、2006年初訪日。日本旅行中はすべてが夢見心地な体験であり、以降日本スタイルの勉強とタトゥーに専念する。2011年大阪に移住し、現在はDESPERADO EXCHANGE TATTOOを拠点に活動。日本刺青の伝統的な特徴を保持しつつ、現代的なグラデーションの技術をさりげなく取り込むことで独自のスタイルを模索中。手彫りの道具作りや実践にも挑戦し、日本に住んで日本の刺青ができるとことは、毎日が夢のようだと語る。
[DESPERADO EXCHANGE TATTOO]
https://www.instagram.com/desperadoexchange_tattoo/
監修
川崎美穂 かわさき・みほ/1973年、青森県弘前市⽣まれ。1996年より『BURST』の編集に携わり、1999年本邦初のタトゥー専門情報誌『TATTOO BURST』を創刊。雑誌が休刊する2012年までのあいだ編集長を務める。現在はタトゥーのある人でも利用可能な日本の温泉施設などを紹介するウェブサイト『Tattoo Friendly』を運営。タトゥーにまつわることをライフワークとし各メディアに執筆なども行なっている。
Tattoo Friendly : https://tattoo-friendly.jp/ja/
〈MULTIVERSE〉
「かつて祖先は、歌い、踊り、叫び、纏い、そして屍肉を食らった」生命と肉食の起源をたどるビッグヒストリー|辻村伸雄インタビュー
「そこに悪意はあるのか?」いまアートに求められる戦略と狡知|小鷹拓郎インタビュー
「暮らしに浸り、暮らしから制作する」嗅覚アートが引き起こす境界革命|オルファクトリーアーティスト・MAKI UEDAインタビュー
「Floating away」精神科医・遠迫憲英と現代魔術実践家のBangi vanz Abdulのに西海岸紀行
「リアルポリアモリーとはなにか?」幌村菜生と考える“21世紀的な共同体”の可能性
「NYOTAIMORI TOKYOはオーディエンスを生命のスープへと誘う」泥人形、あるいはクリーチャーとしての女体考|ヌケメ×Myu
「僕たちは多文化主義から多自然主義へと向かわなければならない」奥野克巳に訊く“人類学の静かなる革命”
「私の子だからって私だけが面倒を見る必要ないよね?」 エチオピアの農村を支える基盤的コミュニズムと自治の精神|松村圭一郎インタビュー
「子どもではなく類縁関係をつくろう」サイボーグ、伴侶種、堆肥体、クトゥルー新世|ダナ・ハラウェイが次なる千年紀に向けて語る
「バッドテイスト生存戦略会議」ヌケメ×HOUXO QUE×村山悟郎
「世界ではなぜいま伝統的タトゥーが復興しようとしているのか」台湾、琉球、アイヌの文身をめぐって|大島托×山本芳美