1971 Fender Precision Bass / Blue Ice Metallic (# 304370)
この色は、カスタム・カラーの中でも特にレアでアレなブルー・アイス・メタリック。
1965年の販促用カスタム・カラ―・チャートを見ると、5%の追加料金でオーダー可能な14色が紹介されており、この色はBlue Ice Metallicと表記されています。69年のカラーチャートでも同様です。しかし、一般にはIce Blue Metallicと呼ばれることが多く、さらには当のFenderも後のヴィンテージ・リイシューではそう表記しちゃっているから余計ややこしい。どちらが正しいのか未だに謎です。65年~69年までのカスタム・カラ―なので、71年製のこのベースには本来採用されない筈なのですが……。これも謎です。
1969 Selection Chart for Custom finishes Available For Fender Fine Electric Instruments(Blue Ice Metallicは左ページ左列2段目)
1950年代のアメリカの好景気は、自動車をそれまでの移動手段から、社会生活の中心的存在にまで押し上げます。そして単なる道具ではなくなった自動車をセールスするために、メーカーは多くのカラーバリエーションをスタートさせます。Fenderがこれに倣ったのは、マーケットの層が似通っていたこと、先行商品である自動車の売れ行きである程度どの色に需要があるか読めること、巨大産業である自動車メーカー用の塗料の流用がコスト的にも有利であったと言われています。ちなみにライバルGibsonもfenderに若干遅れてほぼ同じコンセプトの自動車のカラー流用のカスタム・カラーを始める他、リンカーンやクライスラー他で自動車デザイナーを務めたRaymond H. Dietrichに新機種Firebirdのデザインを依頼する等、1960年代初期のギター・メ-カーがいかに自動車マーケットを意識していたがよくわかります。
1972 Fender Precision Bass / Sonic Blue (# 374136)
熟女と言えば、数年前から空前のブームです。ちらっと検索するとフーゾクでもAVでもやたらと「熟女」というワードが目立ちます。そういった界隈では逆サバ読みが常態化しているようで、20代のお姉さんが、わざわざメイクを変えて30代半ばを装うなんてのはザラにあるようです。それって、レリックとかエイジドとか呼ばれる、新品のギターをヴィンテージっぽく加工するのと本質的な考え方は一緒ですよね。しかも熟女マーケットも細分化していて、30代、40代、50代、60代以上と傷み方にもグレードと好みがあるらしいです。そこもN.O.S.(New Old Stock)やらRoad Wornやらと傷み方にグレードをつける今のギター市場と似てますね。 おばあちゃんの風俗嬢(!)もいて、けっこう需要があるみたい。何でもハード・レリックが好きな人がいるんでしょうね。
代沢五郎 from O.L.H. だいざわ・ごろう/X-RATEDノワールファンクバンド「Only Love Hurts a.k.a. 面影ラッキーホール」通称「O.L.H.」の主催者でありベーシスト。心理学者/ライター。旧名:sinner-yang。著書に『けだものだもの ~O.L.H.のピロウトーク倫理委員会』(ele-king books)がある。