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PlasticBoys 『夢には従わなければならない それは正夢だからだ』 #04「伝説になりたいヤツ、みんな集まれ」DJブースからジュリアン・アサンジが声を挙げた

伝説のゲイクラブ「PlasticBoys」の入り口の扉の、三角形の絵の下には、こう書かれていた。“夢には従わなければならない それは正夢だからだ”

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 伝説のゲイクラブ、『PlasticBoys』の入り口の扉の、三角形の絵の下には、こう書かれていた。

 

夢には従わなければならない それは正夢だからだ

 

 

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 今夜のPlasticBoysには、とんでもないスペシャルゲストが来ている。2019年にロンドンのエクアドル大使館でイギリス警察に逮捕されたウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジである。通常、大使館内は治外法権で、警察の手が及ばないはずなのに、あの日、エクアドル大使館はイギリス警察を大使館内に招き入れ、アサンジを逮捕させた。国際法を犯した前代未聞の事件だった。

 

 この事件の前までは、大使館内は治外法権で安全だという前提で撮影された映画が数多くあった。この事件後、その手の映画は世の中から消滅した。ウィキリークス自体がロシアとの親和性が高いことからロシア VS アメリカという図式も見え隠れしていたが、いずれにせよ、この事件によって民主主義は木っ端微塵に吹き飛び、何でもありの状態となった。もうこうなると、何が何だかわからない。アナーキー、カオスのようにも見える。

 

 だが、なぜアサンジがここPlasticBoysにいるのだ。彼はアメリカ国内の刑務所で服役中のはずだ。彼はジャイルブレイクしたのか?

 

 彼もまたこの世の狼だ。それもアルファの中のアルファだ。アサンジはラウンジで、ガラス貼りの天井から黄金のフルムーンビームを浴びつつ、COM300と若きベーター、オメガ狼達に囲まれてQ&Aに応じている。アサンジはキレキレの返答でCOM300と若きベーター、オメガ狼たちをコーチングし、彼らの脳機能を引き上げていく。名付けるなら、それは「レジェンド・コーチング」だ。

 

 アサンジはオーストラリア先住民アボリジニの血を引く。アボリジニはオーストラリアにおいて、ネイティブインディアンやアイヌのようなポジションにある。オーストラリア政府が彼のパスポートを没収し彼を守らなかったとき、彼がアボリジニのパスポートを入手していたという逸話がある。つまり現在の彼の身分は、アボリジニで、脱獄者の、アルファ狼なのだ。

 

 そうこうするうちにCOM300、ベーター、オメガ狼たちは、ラウンジからダンスフロアへと移動する。言語情報から悲言語情報への変換だ。アサンジはラウンジからDJブースへと繋がる地下道を通ってDJブースと向かう。途中、通路に落ちているスーツ着用時代のビートルズのポスターは踏みにじっていく。それは、さしずめ「グローバリズムの踏み絵」のようだ。

 

 八角形のダンスフロアの中央に位置する円状のDJブースの中に現れたアサンジは、COM300、ベーター、オメガ狼たちとアイコンタクトを交わしエンゲージする。今宵はアボリジニのトライブ・ダンスと狼たちのトライブ・ダンスの統合だ。それも黄金のフルムーンの夜に。

 

 アボリジニのトライブ・ダンスは、みんなで「いいね」と褒め合って巻き込んでいく全員参加型のコミュニケーションだ。そして、現代の狼たちのお気にりのダンスはゾンビダンスだ。しかも、変態的な。ダンスフロアは、DJによるホップ、ステップ、ジャンプ、ブレイクダウンというプレイ法則でグルーヴを構築する。このホップ、ステップ、ジャンプでマックスに増大したエネルギーを急速冷凍する役割が、ブレイクダウンでプレイされる変態的なゾンビダンスである。

 

 我々人類が言語を持つ以前のコミュニケーションはダンスだった。ダンスは非言語情報であり、非言語情報は本能的で直感的だ。言語情報はAIで置き換えられるが、非言語情報はCultural Intelligence カルチュラル・インテリジェンスだ。未来へのサバイバルを極めるなら、我々は言語とともに、言語を持つ以前の原始的な時代へと向かわなければならない。非言語情報のカルチュラル・インテリジェンスが現代社会からのジャイル・ブレイクを可能とする。自由を感じるのだ。

 

 

 

 昨今のダンスフロアでは、フロアがエネルギーを喪失したとき、ダークで響きの良い、それでいて呪術的な要素のある曲をプレイすると、わらわらとみんなが集まってくる傾向がある。それは1978年のイギリス、みんながニューウェーブで踊っていた時代の光景を彷彿とさせる。不安を感じたら踊れと我々の本能が命令するのだ。トライブの仲間たちと踊るそれはグループセラピーでもある。

 

 我々はいつも集団でダンスすることで伝説を作ってきた。1967年から1969年にかけてのサマー・オブ・ラブ、1976年から1978年にかけてのパンクロック、1978年以降のニューウェーブ、1986年以降のハウスミュージック、1988年のサマー・オブ・ラブ・パート2、そして今、PlasticBoysから始まっているのがサマー・オブ・ラブ・パート3だ。

 

 

 

 八角形のダンスフロアの中央、「A Devil for the Details」(悪魔は細部に宿る)の赤いアナログ・ネオンライトが輝く円状のDJブースから、アサンジが声を挙げた。

 

「伝説になりたいヤツ、みんな集まれ」

 

 

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PlasticBoys 〈夢には従わなければならない それは正夢だからだ〉 2018 acrylic on paper. 150×112cm

 

 

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〈MULTIVERSE〉

「リアルポリアモリーとはなにか?」幌村菜生と考える“21世紀的な共同体”の可能性

「REVOLUCION OF DANCE」DJ MARBOインタビュー| Spectator 2001 winter issue

「僕たちは多文化主義から多自然主義へと向かわなければならない」奥野克巳に訊く“人類学の静かなる革命”

 

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PROFILE

PlasticBoys プラスティックボーイズ/幌村菜生・村山悟郎・有賀慎吾・DJ Marboによるダンスバンド

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