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PlasticBoys 『夢には従わなければならない それは正夢だからだ』 #02 ジェット機に乗って着いた島はイビザ

伝説のゲイクラブ「PlasticBoys」の入り口の扉の、三角形の絵の下には、こう書かれていた。“夢には従わなければならない それは正夢だからだ”

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 伝説のゲイクラブ、『PlasticBoys』の入り口の扉の、三角形の絵の下には、こう書かれていた。

 

夢には従わなければならない それは正夢だからだ

 

 

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 ジェット機に乗って着いた島はイビザ。

 イビザ空港からオートパイロットで北イビザ方面へと車を走らせる。車は無人自動運転で迎えに来た、テスラ・モデルYだ。カーラジオのスイッチをオンにして地上波のローカルダンスミュージックステーションにチューインすると、今、イビザにいる気分が盛り上って来る。

 

 イビザは、空港が島の東南に位置する。東部には都市であるイビザタウンがあり、南部、西部、中央部のエリアは、ユーロを稼ぐためにグローバリゼーションに売り渡した。今では、リアルイビザは、空港から地図上で物理的に最も離れている北部にのみ存在する。北部は、イビザベテランのディープトラベラー達の聖地なのだ。地図上では一番距離があるように見えるのだが、実際、車を走らせて見ると、モーターウェイのおかげでかかる時間は短い。イビザは信号がほとんどないため、一般道路が高速道路のようにストレスフリーで快適なのだ。

 

 その村は、人口が千人にも満たない小さな村なのだが、銀行が四件も存在した。それが何を意味するのか、わかる人にはわかるのだが、わからない人にはわからない。

 レモン畑の中にある、元農家の、フィンカと呼ばれる形式の、白い、角が丸いキューブ型の一軒家が滞在先だ。なぜキューブ型なのか?その理由は、拡張性を持たせるためだ。最初は小さく始めて、だんだん拡大していくのだ。この手法は、イビザ初のクラブ・パシャのダンスフロアにも用いられている。小さく始めて大きく育てるのは、イビザの伝統芸なのだ。

 フィンカに付随する、庭、というか、土地、の広さは、農場だけあってヘクタール(10000平方メートル)が単位だ。表通りから、車1台分の道幅のガタガタくねくね道を1キロは軽く走る丘の上に、その隠れ家フィンカは存在した。

 

 旅の荷物をベッドルームに置いて、すぐに、庭のレモン畑へカゴを持って出る。ブーゲンビリアの香るゲートをくぐり抜け、しばらく下ったところに、そのレモン畑はあった。完熟して木から落下したばかりのレモン達をカゴに入れる。本物の、木成りレモンである。もちろん、ノンケミカルな自然栽培である。完熟レモンには甘さがある。その証拠に、アリがたかっている。

 レモン達を詰めたカゴを抱えフィンカに戻って、スパークリングミネラルウォーターにレモンを絞る。極上のクエン酸とビタミンC、そしてほのかな甘みが脳天を突き抜け、指先がジンジンする。

 バスルームに向かい、白いホーローのバスタブにお湯をはる。湯船に、カットしたレモン達を浮かべる。レモンバスである。そこに重曹をワンカップ入れ、ハンドメイド温泉をケミストリーする。そしてヒノキのエッセンシャルオイルを数的垂らして脳機能を引き上げる。私は副作用の無いハイを好むのだ。レモンバスのナチュラルなピーリング作用を全施術した私は、心身ともにリフレッシュ、再起動する。

 

 フルムーンが丘の上の木々にリフレクションして、繊細なブルーに光り輝いている。それは、ジャマイカのブルーマウンテンと同じ原理である。アイランドレコードのクリスブラックウェルが経営するブルーマウンテンのホテル・ストロベリーヒルでもそうだった。フルムーンの元、光り輝くブルーマウンテンを見て、その名の由来を体感したことが思い出される。今夜は伝説のPlasticBoysDJプレイをする、特別な時なのだ。

 

 PlasticBoysは、人里離れた丘の上の木々に取り囲まれた、農場の中のアグロツーリズモ・ホテル内に存在する、メンバーシップオンリーのコミューンである。メンバーになるには既存メンバー5人の推薦が必要である。そして既存メンバーからの反対が1票でもあればメンバーになることは不可能だ。

 PlasticBoysは、日本の最新のテクノロジーによる、完全防音の正三角錐テトラヒドロン、つまり正四面体の建造物である。エジプトのピラミッドは四角錐であり、権威の象徴であるのに対して、正三角錐テトラヒドロンは、一緒に生きようという博愛を意味するのだ。

 

 「All for your Brain Function」(全ては脳機能のために)の赤いアナログ・ネオンライトが輝くエントランスホールでは、スマートフォンやスマートウォッチの類のデジタルガジェットをレセプションに預けるルールとなっている。スマホフリーによるプライバシーコントロールと、絵にならない事象の排除である。

 口に入れるドリンクとフードに関しては、脳機能の拡張に徹したものとなっている。「All for your Brain Function」の赤いアナログ・ネオンライトが輝くカウンターでは、アルコールフリー、シュガーフリー、人口添加物フリー、カゼインフリー、グルテンフリー、低GIブドウ糖、ビタミンB12、オメガ3オイル、これらの縛りで、自然由来の良質のブドウ糖とオイルとハーブとスパイスで統合されたものが提供され、皆の脳機能を異次元レベルにドライブさせるのだ。

 

 ダンスフロアーの形は正八角形である。サウンドシステム、つまり、スピーカーのタワーも8タワーである。フルレンジのスピーカーユニットは、9センチメートルと小型である。それらは全て無指向性であり、レイテンシーがゼロである。1タワーに6機のフルレンジスピーカーが天井から吊るされ、それらは、まるでパイプオルガンのようだ。サブウーハーもゼロレイテンシーのものがタワー毎に3機設置されている。それらはダンスフロアーから独立したアイランドフロアーに縦に積まれている。合計でフルレンジが48台、サブウーハーが24台だ。

 これらのサウンドシステムは、天井から吊るされたシルクのスクリーンによって、ダンスフロアから認識することが不可能だ。ダンサー達はビジュアル的にステルスな状態で無指向性のサウンドに包まれる。そして、シルクのスクリーンには映像や照明が映される。音がどこから来ているのかわからない、音の目隠しプレイである。

 8角形のダンスフロアー内はどこにいてもサラウンドサウンドに包まれるようにデザインされている。そして、「A Devil for the Details」(悪魔は細部に宿る)の赤いアナログ・ネオンライトが輝く円形のDJブースはダンスフロアの中央に位置し、ダンスフロアーの振動とは隔離されたアイランドフロアーだ。

 さらにブースはスーパースローなメリーゴーランドのように回転する。DJがダンスフロアの全てのダンサー達とアイコンタクトでエンゲージが可能な仕様なのだ。

 ブース内には3台のターンテーブル、3台のコントローラーの機能だけに特化したCDJが鎮座する。ターンテーブルはVESTAX PDT6000で外付け電源、出力ケーブルのバランス化、トーンアーム、インシュレーター、スリップマット、制振性に優れた人工大理石の土台がモディファイされている。カートリッジの針圧は1g1.8gなので徹底された振動対策が施されている。ホコリ対策としての空気清浄機のダクトもターンテーブルの周りにセットされる。

 CDJCDプレイヤーとしての機能は使わない。CD20Hz以下の超低音と20kHz以上の超高音がカットされている欠陥音だからNGなのだ。そして、ぺったんこな音になる内臓D/Aコンバーターは使用せずに、外付けのD/Aコンバータにデジタル接続して使用する。更に、レコード再生の音をリファレンスにしているので、真空管の3バンドEQを通してアナログ度を深める。

 PCDJにも対応していて、それは前述のD/Aコンバーターと真空管の3バンドEQを経由する。デジタルではMP3をプレイするのは言うまでもなくNGだ。16Bit44KHzもしくは24Bit96Khzの音源が必要とされる。

 PlasticBoysではアナログとデジタルの二刀流が違和感なく実現化可能だ。とは言っても、デジタルでのプレイは、ライブマスタリングで音を作る、耳と能力が必要だ。

 ミキサーは、モディファイされたSDX3700UREI1620が鎮座する。電源はテスラのパワーウォールを使う。バッテリー電源はノイズが皆無のピュア電源だからだ。

 そして、フロア北側の8角形の辺にはバンドとダンサーとの共演にも対応可能なステージが設置されている。

 

 

 

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PlasticBoys 〈夢には従わなければならない それは正夢だからだ〉 2018 acrylic on paper. 150×112cm

 

 

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〈MULTIVERSE〉

「リアルポリアモリーとはなにか?」幌村菜生と考える“21世紀的な共同体”の可能性

「REVOLUCION OF DANCE」DJ MARBOインタビュー| Spectator 2001 winter issue

「僕たちは多文化主義から多自然主義へと向かわなければならない」奥野克巳に訊く“人類学の静かなる革命”

 

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PROFILE

PlasticBoys プラスティックボーイズ/幌村菜生・村山悟郎・有賀慎吾・DJ Marboによるダンスバンド

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