PlasticBoys 『夢には従わなければならない それは正夢だからだ』 #01 夢には従わなければならない それは正夢だからだ
伝説のゲイクラブ、『PlasticBoys』の入り口の扉の、三角形の絵の下には、こう書かれていた。“夢には従わなければならない それは正夢だからだ”
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伝説のゲイクラブ、『PlasticBoys』の入り口の扉の、三角形の絵の下には、こう書かれていた。
夢には従わなければならない それは正夢だからだ
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PROLOGUE
幌村菜生
私は眠っている間にほとんど夢を見ない。起きている間に、ずっと夢を見ているからだと思う。だけど、その日は、珍しく、夢を見た。
夢を見た日は、夢を見たことによって、ほっとしたり、希望を感じたりすることが多い。夢が、何かを示しているからだ。
たとえば、夢を見たことによって、無意識に抱え込んでいた問題が、暴かれることがある。抱え込んでいたことすら気づかなかった問題の存在が、明らかになる。もしくは、誰かのシグナルをキャッチしたかのように、感じられることもある。
その日の夢は、彼の親友が、私たちに、怒っている夢だった。
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「さっき、電車の中で、気付いたの。ジョンレノンとオノヨーコは、なぜ、ビートルズを解散させてしまったのか。それは、ふたりだったから。ティモシーリアリーが現場にもいた、あの、世界を変えた、ベッドインだって、ふたりだったでしょ。ふたりだったから、ああいう結果になったの。彼らが解散させたわけじゃないとも言われているけど、でも、あれが、もし、3人だったら。バンドの全員だったら。きっと違ったことになっていた。
ジョージハリスンとエリッククラプトンとレイラもそう。レイラを求めたふたりは親友でい続けたけど、ふたりともレイラとは長続きしなかった。
ただね、これらは、根っこでは、私たちと、同じなの。同じものがあって、違う形であらわれただけ。60年代のヒッピーたちは、そういうことを、やり尽くす必要があったの。それは、アシラもよく言うように、一度やり尽くさないと、次のものが出ないから。そして、それはそれで、美しい物語だったから、良かったのよ。だけど、私たちが、その、こないだの君たちの作品じゃないけど、シミュラークルをずっとやり続けて、シミュ神だかを呼び出すわけにはいかないでしょ。だから、私たちは、今こうしている。私たちは、同じものを、このように扱っている。そして、それを、みんなに見せていく。私たちは、ただ見せていくだけじゃなくて、彼らの根っこにあったものはこれですよ、ってことも見せることになる。私たちがトポロジカルトランスフォーメーションを見せることによってね。サマーオブラブ、セカンドサマーオブラブ、サードサマーオブラブ、は、こうやって、パラダイムシフトしていくの。ただ単に、60年代の繰り返しをしているわけじゃない。
だからといって、私たちの中に、レイラのメロディがないわけじゃない。Mike FoyleのShipwreckedのchill outのメロディがないわけじゃない。そうじゃなくて、私たちは、常に、そこから、高速で移動しているの。そうならないように。喪失のメロディは、常に、私たちの中に流れているの。
だって、例えば、私とアシラが親密になりすぎていたら、ノアは、入り込めないものを感じて、自分が排除されて、遠ざかって、大切なものを喪失したように感じるでしょ。それぞれが、そうだし、そういうことは、常に、私たちの間で、起こっているわけじゃない?だから、私たちは、喪失のメロディを持っていないわけでも、喪失のメロディを失ったわけでもないの。」
レオは、ここまで一気に、ノアが話についてこれること、そして、このインパクトを、自分と同じように感じてくれていることに、興奮しながら、話し切った。
「すっごいいいこと言ってない?」
「いいこと言ってる。いいこと言ってるから、書いておこう。えーと、紙、紙、ペン、」
「この、高速で移動してる話は、今話しながら思いついたんだけど。だって、ModjoのLadyは、レイラと似てるでしょ。特に、アンプラグドバージョン。ModjoのLadyは、ミュージックビデオで、ふたりのカップルとその親友が、3人で結ばれてトライアッドが成立した夜を描いているわけだけど、トーンは、レイラと同じなの。そういうこと。」
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〈MULTIVERSE〉
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