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PROLOGUE Ⅱ 
2021.10.31

 

 あれから2年半が経った。

 PROLOGUE Ⅰに綴った初心から特に変化はない。相変わらず僕は尖りたがっている。社会に対して? いや、違う。社会というのはよく分からない。社会というなんらかの実体があるとも思わない。だから、僕は僕に対して尖りたがっている。つまらないものは出したくない。誰かが他でやってそうなことはやりたくない。言いやすいことは言いたくない。相も変わらず天邪鬼で、性懲りもなく鼻息は荒い。

 僕はあまり変わっていない。しかし、状況は刻一刻と変わっている。コロナだけの話ではない。コロナは大事かもしれないが、大事なことは他にも山ほどある。たとえばHAGAZINEは独立する。芳賀書店と共に歩み始めたあてのない旅だったが、そういう旅には艱難辛苦がつきものだ。ここからは一旦、それぞれ違う旅路を行く。芳賀書店ならびに三代目・芳賀英紀氏にはひとえに感謝している。

 新しい媒体名は「DOZiNE」とした。土人、怒人、同人、DO人、どう呼んでもらっても構わない。熟慮して決めたものではない。熟慮は大抵の場合面白いことにならない。単に響きがいいからこれにした。名は体を表すらしいから、多分、これも何かの表れなんだろう。いずれにせよ、満を辞してリスタートだ。

 もう一度、繰り返す。僕は「DOZINE」によって君の人生を良くしたいとか君に楽しんでもらいたいとかはこれっぽっちも思っていない。君が変わることによって世界が変わりゆくこと、その可能性にこそ僕はコミットしたい。

 さて、再び編み物を始めよう。チリやホコリも巻き込みながら、ほつれやほころびだらけの編み物を。

 

2021.10.31 辻陽介